慶應義塾大学法学部(小論文)|2014解説

こんにちは。
マナビバ福岡塾長 天野貴文です.

”慶應義塾大学法学部(小論文)|2016年の解説と解き方”についてお伝えします。

①ざっくり言うとこんな問題です。

「ケアの倫理」と「正義の倫理」に関する筆者の分析を踏まえて、あなたの考えを論じる問題。

 

合格点を獲るためには

・問いに対して回答力

・課題文の論理構成をふまえて発想力表現力必須となります。

 

 

天野 貴文

まずは設問1の模範解答とともに要約問題の解き方のコツをお伝えします。

解説

 

まずは模範解答です。

《模範解答》

正義の倫理とは、諸権利間に順列をつけ、調整しようとするものである。それは誰かがケアをしなければならないケアに依存する者たちの生死に関わる状況において、そのケアを女性の「自然・本性」に訴えることで、女性が果たすべきであると考えるものである。ケアの倫理とは、他者への共感、自己批判、文脈の中で生じる他者への責任といった、より弱い者への視線から発せられるものである。それはケアすることを果たしている女性など社会的弱者に対して目を向けて考えるものである。

このケアの倫理に対し、筆者はそれがその特定の人格、ニーズ、欲求、態度、判断力、行動、そしてその存在すべての在り方にまず焦点をあてることであるかぎり、公的領域においてなによりも要請されている、他者を他者として尊重する態度、その人の掛け替えのなさ、唯一性を尊重する態度がそこに存在するものである。そして政治とは、見知らぬ他人のニーズを代弁し、はっきりと表明する機会を持たない者たちのニーズに応えようとするものに他ならないと述べている。

この課題文の内容に対し、今後の社会について私は以下のことを述べる。
私は女性の「自然・本性」に訴えることで、家事労働などのケアを女性に委ねるこれまでの慣習を見直すために、正義の倫理だけでなく、ケアの倫理も考慮に入れた法整備を進めていく必要があると考える。
この理由として以下の三点をあげる。第一の理由はこれからの社会状況を考えた場合、こらから更に進むと考えられる高齢化である。高齢化の社会では、ケアに依存する者たちの生死に関わるケアの必要性は今よりも増していくことが予想される。第二の理由は女性の人権である。男女雇用機会均等法が出来て以来、女性の社会進出は社会的に承認されている。しかし結婚の適齢期を親の同意があれば男性が18歳、女性が16歳で結婚できるなど男女間での結婚の社会的承認適齢期に差が残ったりと男女間での差は整備されていないままである。第三の理由は、法の精神である。法の精神は正義を追求することにあり、弱者保護を目指すものである。最高法規である憲法の生存権には、すべての国民は文化的で最低限度の生活を営む権利を有すると規定されている。法整備がないままでは従来の慣習から大きく変わることは予想されにくく、社会的弱者保護が改善されないと考えられる。
以上、私は三点の理由から、ケアの倫理を考慮に入れた法整備を進めていくべきだと考える。

《問題の解き方》

 

問題攻略のポイント!

①「正義の倫理」と「ケアの倫理」を本文ではどう述べられているか?

②「正義の倫理」と「ケアの倫理」についての筆者の意見を整理し、あなたの意見を述べる

この2点を守るだけでクリアです。

では具体的にどう解いていくかというと、

①まず「正義の倫理」と「ケアの倫理」について課題文では何といっているかというと、

「正義の倫理」

諸権利間に順列をつけ、調整しようとする。

「ケアの倫理」

他者への共感、自己批判、文脈の中で生じる他者への責任といった、より弱い者への視線から発せられるもの

以上のように述べられています。

②「正義の倫理」と「ケアの倫理」についての筆者の意見はどう述べられているかというと、

 それがその特定の人格、ニーズ、欲求、態度、判断力、行動、そしてその存在すべての在り方にまず焦点をあてることであるかぎり、公的領域においてなによりも要請されている、他者を他者として尊重する態度、その人の掛け替えのなさ、唯一性を尊重する態度がそこに存在する、と考えられてもよいはずである。そして政治とは、見知らぬ他人のニーズを代弁し、はっきりと表明する機会を持たない者たちのニーズに応えようとするものに他ならない。

以上のように述べています。

あとはこの筆者の意見に対して自分の意見がどうかを述べれば完成です。

天野 貴文

問題には「ケアの倫理」と「正義の倫理」に関する筆者の分析を踏まえて、あなたの考えを論じなさいと問われていますので、このように「ケアの倫理」と「正義の倫理」についてどう述べているかをそれぞれの内容を説明すると共に述べて、その後自身の考えを述べると良いでしょう。

筆者の見解に対して、

僕はケアの倫理を考慮に入れた法整備を整えていく必要性を論じました。

その根拠として、

①高齢化:今後の社会情勢から少子高齢化が考えられて、ケアを必要とするものが増えるということ。

②女性の人権:男女雇用機会均等法が出来て以来、女性の社会進出を社会が容認している。

→しかしまだ男女間での差があり、不備なところがある。

(結婚の承認適齢年齢の差:男18歳、女:16歳)

③法の精神:法の精神は正義を追求することであり、弱者保護を目指すものでなければならない。

→従来の慣習のままだと、何も変わらない。

→弱者を保護するためにケアの倫理を考慮に入れた、法を整備する必要がある。

この3点を挙げてみました。

法学部を受験するにあたり大事な「法とは何か」についての知識。

法の精神とは正義である。そして弱者保護のために法律を整えていかなくてならないなど

法の基本的考えから分かりやすく学ぶのにこちらの本はおススメです!

 

まとめ

 

天野 貴文

今回の内容は結構難解でした。「ケアの倫理」とは何か?そしてそれを筆者がどう思っているのか?ピンと掴めていない場合は紙に書いてみて、ゆっくり見つめ直すと良いですよ。そしてこの難解な文章をゆっくり読んで、読み解けるようになることは他の科目の読解力にも活かされることですので、ピンと来ていない場合はゆっくり読み直してみましょう。