慶應義塾大学文学部(小論文)|2016解説

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こんにちは。あまちゃん先生です。

”慶應義塾大学文学部(小論文)|2018年の解説と解き方”についてお伝えします。

①ざっくり言うとこんな問題です。

課題文の要約を300字以上360字以内で要約する問題。

そして

課題文の文章をふまえた上で人間にとって「名付ける」とはどのようなことかについて320字以上400字以内で論じる問題。

 

合格点を獲るためには

要約回答力

・論点に合わせた発想力必須となります。

 

 

あまちゃん先生。

まずは設問1の模範解答とともに要約問題の解き方のコツをお伝えします。

②設問1の解説

《ざっくり言うとこういう問題》

犬に名前を与えるという行為は、犬を人間の側に近づけ、人間化を施すことである。

 

犬の命名に一般的な規則はあるのだろうか?

 

飼い主は自分の犬に向かって、自由に思いつくままに名前を授けていいのだろうか?

 

この命名行為とは一体どういうものであろうか?

ざっくりいうとこの内容についての課題文の要約を書く問題です。

 

まずは模範解答です。

《模範解答》
犬に名前を与えるという行為は犬を人間の側に近づけ人間化を施すことである。この犬の命名はその犬と人間社会との関係に応じてまったく異なった秩序法則に従っているものであり、けっして飼主の自由になるものではない。人間は飼い犬を好き勝手に名付けているように見えて実は見えないさまざまな規則に基づいて命名行為を実践している。人間がいくら個人的に実存に目覚め、行為と選択の自由を主張したところでその思考と行動は帰属する社会の構造によって暗黙の裡に規定されている。つげ義春の『峠の犬』には1匹の犬を初老の行商人は「五郎」と名付け、峠の茶屋はハチと名付けて飼い、犬はただ気の趣くままに二つの場所を交替して住んでいる話がある。犬にとっては人間がつける名前など観念の虚構として燃え崩れてしまうものである。

《問題の解き方》

 

要約問題攻略のポイント!

①課題文の結論を導き出す。

②結論内容とその字数に合わせて、それまでの文章構成整理まとめる

この2点を守るだけでクリアです。

では具体的にどう解いていくかというと、

①まず課題文の結論を探すと、

最後から8段落以降より、

・要するに動物の命名は、その動物と人間社会との関係に応じてまったく異なった秩序法則に従っているものであり、けっして飼主の自由になるものではない。

 

・人間がいくら個人的に実存に目覚め、行為と選択の自由を主張したところで、その思考と行動は帰属する社会の構造によって暗黙の裡に規定されている。

 

・飼主がハチと呼ぼうが、五郎と呼ぼうが、この犬はいっこうに無関心である。

 

・彼はただ気の趣くままに二つの場所を交替して住んでいるだけで、人間の一挙一動に対し、まったく愛想のない野良犬にすぎない。

 

・この犬が体現している絶対的自由を前にしたとき、あらゆる命名行為は観念の虚構として燃え崩れてしまうのだ。

 

ここが結論として導き出せます。

②結論までの文章構成を整理すると、

課題文の文章構成としてザっと整理するとこんな感じになります。

・犬に名前を与えるという行為は、犬を人間の側に近づけ、人間化を施すことである。

ペットとして飼われるようになったとき、犬は純粋な動物であることをやめ、動物と人間との混合物へと姿を変える。

 

・犬の命名に一般的な規則はあるのだろうか。飼主は自分の犬に向かって、自由に思いつくままに名前を授けていいのだろうか

 

・犬の正式名が語るのは、その犬が特定のクラスに分類され、登録されているという意味であり、また飼主が付ける愛称は、その人物の属する階級と文化(教養)、個人的性格と嗜好を意味している。

・この愛称もまったく自由に付けていいわけではない。

そこに三つの法則、あるいは禁じ手が存在している。

犬の名前は、一目で犬と判る名前のクラスに属していなければならない。

 競走馬や牧牛に付ける名前は不適当である。

・使用してもいい条件を備えていなければならない。

・飼主の犬に対する考えや好みを反映していなければならない。

 

要するに動物の命名は、その動物と人間社会との関係に応じてまったく異なった秩序法則に従っているものであり、けっして飼主の自由になるものではない。

 われわれは飼犬を好き勝手に名付けているようにみえて、実は見えないさまざまな規則に基づいて命名行為を実践しているのである。

 

・人間がいくら個人的に実存に目覚め、行為と選択の自由を主張したところで、その思考と行動は帰属する社会の構造によって暗黙の裡に規定されている。

 

つげ義春『峠の犬』

・行商人の家では五郎。峠の茶屋ではハチ。

 

・飼主がハチと呼ぼうが、五郎と呼ぼうが、この犬はいっこうに無関心である。

 彼はただ気の趣くままに二つの場所を交替して住んでいるだけで、人間の一挙一動に対し、まったく愛想のない野良犬にすぎない。

 

・この犬が体現している絶対的自由を前にしたとき、あらゆる命名行為は観念の虚構として燃え崩れてしまうのだ。

あとはここを結論の内容と文字数に合わせて整理すれば完成です。

 

あまちゃん先生。

要約問題に慣れていないときは300字というのが字数の多いものと思いがちですが、結論を導き出してそれに合うように文章構成を整理すると意外と字数がないものと知ります。

意外と多くは書けないものですので、結論までの文章の流れでは字数にコンパクトにまとめたものを取り入れて、要約を完成させましょう!

 

 

要約問題の解き方のコツについて詳しく知りたい方はこちらへどうぞ。

今の2点のコツについて詳しくお伝えします。

要約問題の解き方

 

③設問2の解説

人間にとって「名付ける」とはどのようなことかについて、この文章をふまえて、あなたの考えを320字以上400字以内で述べるもの。

この文章をふまえて”というのが

大事回答条件になる問題です。

この文章をふまえると人間にとって「名付ける」ことついてどいう考えを論じられるだろうか?

設問1を解くうえで整理した文章構成をもとに回答してみましょう!

 

あまちゃん先生。

文学部の小論文の設問2の出題形式として1番多いのが”この文章をふまえて”というものです。

この場合は設問1の要約問題を解く上で設問の文章構成を明確にしておくと設問2が解きやすくなります。

設問1を解くときに少し時間を使って文章構成をまとめるのは意味のある闘い方ですよ~。

 

まずは模範解答です。

《模範解答》

私は人間にとって「名付ける」とは命名者の自由になるものではなく、秩序法則に従っているもの、観念の虚構として燃え崩れるものといえる。その理由をわたくし自身の名前から述べる。私の名前は天野貴文と名付けられている。しかし天野ナポレオン貴文のようにミドルネームをつけたくても日本の氏名欄には苗字と名前しかないためミドルネームをつけることは出来ない。また天野悪魔と名付けたくても過去に悪魔という名前が受理されなかったケースより認められない。そして私が家庭を持ち子供が出来て父となれば「パパ」と呼ばれる。その後孫を持てば「おじいさん」と呼ばれる。会社で課長職にいれば「天野課長」部長職にいれば「天野部長」と呼ばれる。所属環境が変われば呼び名が変わり、本名の天野貴文と呼ばれることはほぼなくなる。以上より命名行為は命名者の自由によるものではなく、秩序法則に従っているもの、観念の虚構として燃え崩れるものといえる。

《問題の解き方》

まずはこの文章の結論として導き出した

・命名は、その動物と人間社会との関係に応じてまったく異なった秩序法則に従っているものであり、けっして飼主の自由になるものではない。

 

・この犬が体現している絶対的自由を前にしたとき、あらゆる命名行為は観念の虚構として燃え崩れてしまうのだ。

ここを考えの起点に持っていき、

ミドルネームをつけたらどうなるかなどを挙げながら

人間にとって「名付ける」とは命名者の自由になるものではなく、秩序法則に従っているもの、観念の虚構として燃え崩れるものと論じてみました。

 

あまちゃん先生。

設問1で内容整理したものをもとに設問2を解く。慶應文学部小論文の解き方として合格を確実にする大事な解き方の1つです。

 

まとめ

 

あまちゃん先生。

慶應文学部の小論文問題は出題傾向があまり変わっておらず、10年分以上解くなど解き方に慣れることが大事になります。初めは時間がかかっても数をこなしていくうちに時間内に良い答案が書けるようになります。慶應文学部合格に向けて、数多くの問題実践に励みましょう!